西山語録「2011年バックナンバー」
◆ 仕事について
職業に貴賎なし。仕事に貴賎あり。
先に渡される金は期待されるモノの価値であり、後で渡されるのは成果の価値である。俗っぽい言い方をすると、先に貰うのは賄賂、後に貰うのはお礼や感謝となる。報酬に差が出るのは、仕事に対する評価の差の現れである。
自分が期待する 報酬が小さい時は、自分が思っている程、相手は仕事の仕方を評価していないということとなる。
評価されるためには、相手が何を求めているかを察知し、「そ れに応えるために自分なりにできる考働」が出来ているかを考える必要がある。
◆ 体感営業とは
実際に商品を一定期間使用してみて良かったら購入してもらい、買う気にならなかったら返品して貰う販売の仕方である。返品分は販売促進費で処理する。生産財では、お試し受注分も同じ扱いをする。サービス財でもおなじである。初回購入のとき格安で提供するのも、これである。
◆ 活躍の場を探すのが成長の秘策
まず、出来ることで稼ぐ、出来ないことで必要なことは積極に習得の機会を探す。これが成長の秘訣である。
ベトナム人と接していて、つくづくいつも考えさせられる。
◆ 第三の要望の察知
要望という氷山の、一番海の深いところにある「第三の要望」を捉える事は大変難しい。しかし、以下の手法で取り組むと、意外に簡単に察知することができます。まず、第一の要望の読み方がスタートとなります。なぜこの様な要望が出るのか。出た要望のTPOとの関係で、どの様なものが読めるか。また、要望を出している人の性格との関係から考えると、この要望はどのような広がりが考えられるか。彼が持っている問題と関心事は何か。彼の好みや興味・欲望などをも含めて総合化して考えると、「第三の要望」が自ずから見えてきます。
◆ 活きること
BSOは、「活きる」と「生きる」を使い分け、前者の活き方を大切にし、その活き方のなかに喜び充実感を求める人々が集う会社をめざしている。社会と共生 をめざし、そのためにお互いに得々の関係に知恵をしぼり、トライアングルバランスをはかりながら、共存共栄の実現をめざしている。
◆ 多様性は市民社会の特徴のひとつ
社会の動きはまだ画一化を志向しているが、市民社会は価値観を始め、人の活き方や考え方が多様化しており、画一的な方法手段では対応出来ない。
あらゆるモノが多様性の下で検討せざるを得ず、産業社会はどのように応えていけるかに挑戦する時代である。
◆ 販売力が企業の盛衰を決める
これからの時代は、「販売力の差」が企業の盛衰を決める。
販売力とは、売上高を創る事であり、また、買わせる力とも言える。買わせる力は、質的には「求心営業」で、量的には「コミュニケーション」の頻度の掛け算である。
求心営業は、惹きつける個性・鮮度があり「あの人だったらこんな時、どう考え考働するだろうか」と思い出される状況を創る事である。
コミュニケーションとは、心の会話が出来ることである。方法論としては会って話をする事が良いが、肝心・重要なのは方法手段より「頻度」である。
◆ 未来の議論をしよう
盆の時期は過去の話が多いが、今年は特に多いように思う。昔ローマクラブが、素晴しい地球を孫達に残そうと活動を開始した。現代の環境保全活動の始まりである。
それから半世紀が経つ。今、環境は保全から再生が必要になってきている。人間社会も過去の過ちを繰り返さない社会づくりのために、歴史を振り返り、また色々な取り組みがなされている。しかし、一向に良くなる気配はない。ましてや、目指す未来もないし、挑戦する気にもならない。
これで良いのだろうか。子供やこれから生れて来る人間は、どうなるのだろうか。少しでも希望の持てる社会を残してやりたい。
◆ 新しいビジネスが続々誕生
東日本の災害を機会に、日本の求められていた産業の変化がスピードをあげている。
特に、今までの産業でこれからも日本に残る産業は何か、新時代のために必要性が増している産業は何か・・・・・。
災害復旧といった特需的なビジネスだけではなく、新時代のビジネスへ入れ替わりだしている。
◆ 日本の電力問題
日本産業に急激な構造的変化が起こっていますが、予想以上に電力問題が大きく影響する形になってきています。西日本への産業の一時的移動、海外への拡散、中部地区でのハイテク産業の集中化、日本固有の産業への変身などの動きが進んでいますが、今後、この電力問題によって、日本産業の「海外への拡散」と「節電生活の社会づくり」へとウエイトを高めていくことにならざるを得ないでしょう。
◆ ボス
動物のボスの基本は、強靱な力である。古代の人間社会のボスは、経験豊富で、自然界の真理に深い知識を有する人であった。渡り鳥などの集団行動の習性などは、人間社会に似ている。これは、何を意味しているのだろうか。
ひょっとしたら、生物全体という視点で捉えると、人間社会のボスの本質が自然界の真理なのかもしれない。
◆ 役割の果たし方
作業ばかりが気になり、その作業の仕事は何か、またそれはどのような役割を果たすための仕事か、という捉え方が出来ていないので、ピントが外れたことが多々発生している。そうなってしまうと、成果が一向に出ないし、ウロウロすることになる。
役割を果たす仕事には、タイミング良く考働することが重要である。タイミング良く仕事をするためには、関係する状況、周囲の動きを観察し、どのような状況の時に、どのような作業をするのが望ましいかを捉まえなければならない。
自分勝手に作業予定を決めて取組んでいては、役割を果たせないどころか、周りを混乱させ人の仕事まで駄目にしてしまう。 作業を効率的に行う方法を、先人達が編み出してくれている。効果・効率的なやり方を使わずに作業していては、いくら時間があっても足りない。
◆ 現代の投資の考え方
今までは、製品開発や新製品などの製造工場などが投資の中心だったように思う。これからの投資は、市場開発・市場学習支援や、新時代を予測し具現化することのできる人財(良性の中核ビジネスマンのこと、それ以外は「人材」)育成の2つが中心になってきている。今までの投資は二次的なモノになるであろう。
・良性 = 社会に共感される理念や方針に考働の起点を持っていること
・中核 = 人や動き、さらには技術を束ねることが出来ること
・ビジネスマン = サラリーマンではなく、ビジネスに楽しさ生きがいを第一義的に受け止めて生活している人
・投資 = 成果を予測し経済的肉体的精神的に挑戦し結果を出すこと
◆ メーカーの営業
メーカの営業の役割には二つある。
一つは現在ある製品を販売すること、もう一つは市場に次に送り出す最適な製品開発の情報を収集することである。現製品の販売では、基本的には特注や特別仕様の受注は極力現製品で満足して貰うよう努力する。色々な改良点が出てきたら、次の開発製品に生かす形にしていくことが基本である。
◆ 作業・仕事・役割
「目的を果たす」ことと「役割を果たす」こととは同じことである。役割すなわち目的を果たしていない仕事は仕事でないし、目的の果たせていない仕事のために行われる作業は、基本的には産業活動では何ら意味がない。
ここで「基本的」といったのは、即成果が出てくるものもあれば、成果が出てくるまでに結構時間がかかるものもあるからで、結構時間がかかるものは、一見「目的を果たす」ことに繋がっていないように見えるからである。
目的を果たすことに通じる作業か否かは、合目的的であるか、すなわち目的を果たすまでの道筋・プロセスが、間違っているかもしれなかったり、仮説的であるかもしれないけれど、描かれているかどうかということである。(間違ったとか、良い方法でないと分かった時に、創り変えたら良い。)
描けていても、人に説明できなかったり、頭ではなく体で持っている人のことを、職人とか動物的という。
いずれにしても、目的を果たすまでの道筋・プロセスを持つことが大切であり、これなくして現代の産業社会では生きて行くことは難しい。
このような動きを「考働」という。現代の考働は、要求レベルが高くなっており、また配慮する規模が物凄く大きい。そのため、天才的な特定の人でも、一人で行うことは、難しいというより、不可能であると見た方が良い。色々な人の英知を集め、それを一つの流れにして行くことが不可欠である。このように「束ねる」技術は、従来のリーダーシップにとって代わって、現代社会で物凄く重要なモノになって行っている。
ファシリテーション、親和集約、シュミレーションなど集団考働手法として、これからも頻繁に使われて行くことになるであろう。
ただし、この集団考働するに当たっては、目的自覚性と、考働に値する知的且つ考働レベルが前提になる。そのための、応用のきく形で豊富な知識データベースを持つことが不可欠になる。すなわち、教養の広さに常日頃関心を持つことが重要になってくる。
◆ スクラップ&ビルド
新時代への移行が、自分達の意思に関係なくドンドン進みだした。この現実を我々が受けておかないと、時代に翻弄される人生になりかねない。我々は、時代の流れを読み、何を残さなければならないのか、何を捨てなければならないのか、何を時代に合わせて改造しなければならないのか、何を新しく取り入れなければならないのか。
このような見方を持ち、先見性のある考働をしたい。
◆ 日本産業が世界に誇るもの
日本産業の安全安心、また過剰品質は、まだ世界から評価されている。新興社会とコストで競争するだけが日本産業の生きる道ではない。日本には、世界でも類を見ないモノの造り方すなわち管理の素晴らしさがある。これを全面に出したビジネスを積極的に展開すべきではないか。
◆ 方法が重要なのではない
方法は、目的を果たすためにある。勿論、方法のために目的がある訳ではない。といっても、方法は何でも良いというわけではない。方法を使う人の人格を現すからだ。また、目標(目的)が貧弱であれば、単純な努力だけで済み、挑戦を必要としない。挑戦のない努力は、キラッと光るものがなく、人に魅力を感じさせることがなく、称賛される人にもなり難い。称賛は、活躍するチャンスが寄ってくる源泉である。活動することを押売りする姿勢は、チャンスを逃すし、逃さないにしても多大な労力を必要とする。
◆ 感謝は社会構造の基本
想いや理念など精神的な満足の共有化のまえに、上下左右に関係なく、感謝しあえる関係が社会が構成出来る基本的要件である。相互感謝なくしてひとつの社会を構成することには、やはり無理がある。そのような場合は、やはり別々の社会で活きて行くのが自然である。
感謝する関係を、どれだけ多の人々と創れるかが、その人の人間愛の大きさであり、人間性の素晴らしさを規定することになるのだろう。
感謝は、対応に現らわれる。その人々起点的考働は問い掛けと返事のスピードと頻度である。これがまずいということは、所詮は一緒に活きて行く関係ではないのだろう。
◆ 問題が解けるだけでは現代人になれない
現代の問題には、過去のやり方で解ける問題と、それでは解けない問題とがある。また、我々が活きて行く上では、現在存在し ている問題だけに対処していれば良いというモノではない。問題というレベルで認識できていないものも含めて、解かなければならない問題がどんどん増えてい る。この認識できていないモノを、まずどれだけ問題として創る事ができるかが現代人には求められる。そして過去には存在しない解き方を編み出し、解かなけ ればならないのが現代人である。
問題として存在しているモノを解けないようでは、現代には生きていけない。例えば、TPPについても元々問題になっていなければならないようなものであっ た。現在の管政権についても、管政権の問題ではなく、現代においてどのような社会運営が望ましいのかという問題として、10年~20年も前からBSOは 「混乱の世紀」というような表現で、色々な機会に発言していた。
◆ アジア成金消費、日本からヨーロッパへ
中国の富裕層は、日本への魅力にボチボチ飽きだした。私が想定したよりもスピーディーである。世界の新興富裕層は、麻薬と同じよう刺激的なモノを求めて動く。その第一ステップが日本だったということ、日本に来てそれ以上の刺激がヨーロッパにあるということを体感した。
これから、新興富裕層は日本からヨーロッパに流れを変える。この流れは、日本を蚊帳の外に置いたアジアの航空産業社会いわゆる「臨空社会」の整備充実が拍車をかける。日本に残るのは、新興富裕層の落ち葉拾い的購買力と日本の素晴らしさを味わう地道な外国人である。これらの人々では、日本の産業を維持することは不可能だ。。